この記事でわかること

本記事は今後MuleSoft※1 を導入する可能性があり、
今のうちにMuleSoftの概要を把握しておきたい方向けです。


1)MuleSoftが何故使われているのか
2)何故APIを使って統合するのか

私たちは、お客様のビジネスプラン進行における、そのときどきのあるべきデジタル環境を描く「デジタルアーキテクト」サービスを提供しております。

そのデジタルテクノロジーの1つとして、
MuleSoftが掲げる「API主導の接続性による統合プラットフォーム」に興味を持ちました。

「API主導の接続性による統合プラットフォーム」とは一体どんなものなのか?
実際に開発環境を用意して実装をしてみました。

※1 米 MuleSoft社(https://www.mulesoft.com/jp/)が提供している統合プラットフォーム

目次

  • Mulesoftとは
  • API主導による連携
  • Salesforce とTwillioを簡単API統合
  • 結果 一貫した顧客体験の実現と開発と運用コストの低下
  • まとめ

MuleSoftとは

MuleSoftとは「SaaSとエンタープライズアプリケーションをクラウド、オンプレミスまたはその両方で接続するために広く使用されている統合プラットフォーム」とMuleSoftのHPで紹介されています。

MuleSoftにはアプリケーションやサービスを接続するための統合プラットフォームとしての機能が搭載されています。

ではなぜ、このような統合プラットフォームが企業に必要なのでしょうか。MuleSoftの事例紹介を見ると、デジタル面で大きな課題を抱えている企業が多い、とあります。

原因は、企業が注文システムや製品管理システムなどの複数システムを統合できておらず、顧客に情報を伝達できずに、一貫したカスタマーエクスペリエンスを提供できていない、というものです。

しかし、複数システムを結合しデータを展開することは開発面でも運用面でも非常にコストがかかります。
複数の大型システムを統合するには人員と時間が必要であり、かつ1つのシステムで変更が発生すると、関連する別のシステムも見直す必要があるからです。

そこで複数システムの統合を可能にするプラットフォームのMuleSoftの出番です。
MuleSoftを利用すれば開発面でも運用面でもコストを抑えられます。そうすることで企業は顧客に一貫したカスタマーエクスペリエンスを提供できるようになります。

API主導による連携

MuleSoftはAPIを利用してシステム連携をしています。何故APIを利用するのがよいのか、Salesforceと他システムとの連携を例にして確認していきます。

従来、Salesforceと他システムを連携する場合はApexというSalesforce内のプログラミング言語を用いて連携部分を開発をする必要がありました。そのため、実装やデプロイに開発工数が掛かっていました。

一方、MuleSoftを使ったシステム連携では用意されてある統合アセットを利用することで素早く正確に連携できるようになりました。       

また、一度作成したAPIは再利用が可能なため、他のシステムと連携する際などは更に生産性をあげることができます。

もう一つ感じたAPIで連携するメリットとして、システム間の関係が疎になることが挙げられます。
1つのシステムで変更が生じた場合でもAPIのみを修正すれば良く、関連する別のシステムを修正する必要がなくなるため、開発の範囲や費用を抑えることができます

このように、複数システムの統合を素早く、費用を抑えて実現できるため、API主導のMuleSoftが選ばれていると思います。

SalesforceとTwillioを簡単API統合

私たちは、「API主導の接続性による統合プラットフォーム」を実感すべく、Salesforceをメインシステムとして外部のデータベースとSMS送信が可能なTwillio※2 の連携を試してみました。

MuleSoftがSalesforce の商談の受注になったことをトリガーとして、商談情報と取得したデータベースの情報を加工した後、SMSでユーザに飛ばすことができます。

実装に関してはお互いのシステムを意識しあうことなく、APIで処理を結ぶだけで連携することができました。

実際のプロジェクトを想定してもシステム間の連携の開発工数が下がれば、各システムでの開発に専念できるため、顧客により良いサービスを提供する可能性が上がります。

※2 株式会社 KDDI ウェブコミュニケーションズ(https://www.kddi-webcommunications.co.jp/)が提供しているクラウドコミュニケーションAPI

結果 一貫した顧客体験の実現と開発と運用コストの低下

MuleSoftを導入することで、開発と運用のコストを下げられることが体験できました。

さらに、顧客には1つのシステムでは実現できなかったサービスの提供ができるようになり、一貫したカスタマーエクスペリエンスを提供できるようになります。

具体的には、Salesforceで商談を受注したタイミングで、連携した注文管理システムから顧客に商品情報と納入予定日を送信すること等ができます。

デメリットとして感じたのは、連携するシステムが少ない場合、MuleSoftの実装・管理費用と比べ、得られるメリットが少ないと予想されることです。

例えば連携するシステムが3つの場合は各システム間で直接連携したほうが、MuleSoftの実装・管理にかかる費用が抑えられる場合もあります。

まとめ

私たちは、MuleSoftは今後の企業のデジタルトランスフォーメーションを支える技術の1つだと考えています。

1つのシステムで提供できる機能や、保持しているデータは限られるため、一貫したカスタマーエクスペリエンスの提供をあきらめてしまうこともあると思います。MuleSoftによってシンプルにシステムを統合・展開することで、より良いカスタマーエクスペリエンスが提供できるものと思います。