当ブログでは、「セールスフォース・ドットコム社のMarketing Cloud(以下、マーケティングクラウド)を導入してでできることは何か? と考えている方」向けに、機能の特徴や、どのような業務改善を行えるかを紹介します。Marketing Cloud – One to Oneカスタマージャーニープラットフォーム | セールスフォース・ドットコム (salesforce.com)

本稿は、2回構成の第2回です。

第1回:マーケティングクラウドのメッセージ配信機能の特徴
第2回:マーケティングクラウドによる業務改善

では、本題に入っていきます。

はじめに

今回は、以下のような要件の誕生日のクーポンメールを例に機能を紹介していきます。
・誕生日のお客様に対して、割引キャンペーンの案内メールを誕生日の20日前に送る。
・誕生日当日にもお祝いメール配信をし、その際、クーポンを既に利用した人へは「購入ありがとう」という内容を記載したメール、クーポン未利用の人へはリマインドの内容を記載したメールを配信する。(2種類のメールのうちどちらかを配信する)

このようなメールを配信する場合、業務としては以下のような作業が必要となります。
1.メールを配信する対象者のリストを作成
2.1通目のメールを配信
3.20日後に、クーポン利用有無を元にそれぞれのメールを配信する対象者のリストを作成
4.2通目のメールを配信
5.開封通知などの分析用情報の蓄積

しかしこれらの作業を毎回人の手で行なうと、そのたびに作業に時間を取られ、また、間違った対象者のリストを作成してしまうことや配信のし忘れ等のミスを引き起こす可能性もあります。

一方、マーケティングクラウドでこのような配信をする際に作成するステップとしては、
1.配信する対象の顧客を抽出
2.メールを配信

3.オートメーション
4.配信情報の蓄積

となります。

1.配信する対象の顧客を抽出

マーケティングクラウドでは、単純な条件であれば画面上のマウス操作(ドラッグアンドドロップ)で条件を設定することができます。また、SQLアクティビティを使用しての複雑な抽出条件を指定することもできます。今回のような例であれば、顧客情報から誕生日の20日前の人をセグメントするというシンプルな条件なので、データフィルターを使用することが可能です。
例えば、「ある商品を1週間前に購入した人」のように顧客と受注等、複数のデータエクステンション(RDBでいうテーブルのようなもの)を結合して参照するような条件の場合には、SQLアクティビティを使用して抽出します。

・データフィルター
抽出元のデータエクステンションから抽出条件に使用したい項目をドラッグアンドドロップで選択し、絞り込む値を設定します。マウス操作での設定なので、SQLなどの知識が無くても作成が可能です。複数のデータエクステンションから値を抽出する等の複雑な抽出条件は設定できません。

・SQLアクティビティ
抽出条件をSQLを使用して作成します。SQLを使用するので、複数のデータエクステンションを結合しての絞込みや値の抽出・集計など、データフィルターより幅広い条件で配信対象者を抽出することが可能です。

2.メールを配信

マーケティングクラウドのメール送信では、メール送信アクティビティを使用した単発配信や、journey builderを使用して複数メールを送ることが可能です。
今回の例であれば、誕生日の20日前と当日の2通のメールを送るのでjourney builderを使用します。また、クーポンを使用したかによって2種類のメールを送りわけるので、1通目を送ったあとに20日間待機し、その後クーポンを利用したかをデータエクステンションの値から判断して2種類のメールにそれぞれ分岐します。

・メール送信アクティビティ
配信対象者を格納するデータエクステンション、送信者の情報等を設定し、メールを1通配信することが可能です。1つのメール送信アクティビティで送れるメールは1通ですが、journey builderよりも簡単な設定でメールを配信することが可能です。

・journey builder
配信対象者の設定の他、メール送信や、待機、分岐条件等の設定をし、1人に対して複数のメールを順番に送信することが可能です。
分岐の条件にはデータエクステンションの値や、前のステップで送信したメールの開封情報等を設定できます。また、分岐とは別に条件に合致した人(メールの受信拒否設定・退会等、データエクステンションの値で指定可能)に以降のメールを送らないようにするといった制御も可能です。

3.オートメーション

マーケティングクラウドで定期的に実行するには、上記のような各処理を、オートメーションと呼ばれるものに実行するステップごとに乗せます。今回の例だと、ステップ1にデータフィルター、ステップ2にjourney builderを設定するイメージです。
オートメーションはスケジュールを設定して実行することが可能なので、作成して起動してしまえば毎日人の手で送る必要がなくなります。

4.配信情報の蓄積

マーケティングクラウドでは、特別な設定をしなくても配信したメールの開封・クリック情報、バウンス情報などがviewと呼ばれるものに蓄積され、そこからSQLアクティビティを使って値を取得することができます。また、そのデータをcsv出力することも可能です。

まとめ

マーケティングクラウドで1~4のような機能を使用することで、毎日その日に配信する人のリストを作成しメールの配信を行なうといった日々の作業時間の削減ができます。また、スケジュールでの実行により決められたタイミングで決められた処理が繰り返し行われるので、間違った配信者のリストを作成することや配信のし忘れ等、人的なミスの削減にもなります。
こうしたコストやミスの削減、収集したデータを分析しメールの効果の検証・改善をすることで業務改善につなげることが可能です。