この記事でわかること

本稿では、Salesforceのデータで分析を行う際に選択肢となる2つのBIツール、「Tableau」と「Tableau CRM」の特徴や違いについて解説します。

目次

  • はじめに
  • 1. ダッシュボードの作りやすさ・使いやすさ
  • 2. 接続可能なデータソース
  • 3. データへの接続・加工のしやすさ
  • 4. Salesforce画面との連携
  • まとめ

はじめに

Salesforceには日々多くのデータが蓄積していきます。ある程度蓄積されてくると、次はそのデータを分析したいと考えるでしょう。
その際、選択肢として上がってくるのは、従来からあるBIツール「Tableau CRM」(旧称「Einstein Analytics」)と、新たに加わった「Tableau」の2つだと思います。
本稿では、BIツールにとって重要となってくる以下4項目の評価観点から、この2大ツールの特徴や違いについて解説します。

  1. ダッシュボードの作りやすさ・使いやすさ
  2. 接続可能なデータソース
  3. データへの接続・加工のしやすさ
  4. Salesforce画面との連携

1. ダッシュボードの作りやすさ・使いやすさ

1点目は、ダッシュボードの作りやすさ・使いやすさです。近年、「セルフBI」という言葉も浸透しはじめ、データ分析は一部の人が行うものではなく、誰にとっても可能で必要なものとなってきました。
筆者も多くのプロジェクトで両者のツールに触れてきましたが、ダッシュボードに使いやすさ、という意味では、Tableauが一歩リードしていると感じています。UIは洗練され、より直感的に作る・使うことが可能となっており、見栄えの面でも細かい部分までカスタマイズすることができるようになっています。
Tableau CRMが悪いというわけでは決してなく、慣れればどちらも同等のことが可能になると思いますが、慣れていない人も触れる機会のことが多いツールであることを考えると、よりTableauの方が優れているといえます。

2. 接続可能なデータソース

2点目は、接続可能なデータソースの種類です。どちらのツールも非常に多くのデータソースと接続することが可能で、Salesforceのデータに限らず、クラウドサービス上のデータ等も標準でコネクタが用意されており、データソースとして使用することができます。
しかし、Tableau CRMの弱点として、SaaSサービスという特性上、社内ネットワーク上のデータベースやローカルPC上のファイルには直接接続できないといった点が挙げられます。 その点、Tableauはそれらのデータソースに対しても比較的容易に接続が可能となっており、その点でTableauが一歩リードしているといえます。

3. データへの接続・加工のしやすさ

データは、BIツールに取り込んでもそのままの形では使うことができず、加工が必要になるケースも多々あります。
Tableauにおいては「Tableau Prep Builder」、Tableau CRMにおいては「データフロー」や「レシピ」といったツールで、それぞれデータの取り込みや加工を行います。これらのツールについては、機能や操作性が似通っており、大きく差はないと考えていいと思います。
なお、どちらのツールにおいても取込・加工処理を実行しなければデータが更新されない(リアルタイムには反映されない)という欠点がありますが、取込・加工処理はスケジュール実行も可能なため、あまり大きな欠点とはなりません。
唯一大きな違いとして、Tableau CRMには「Salesforce ダイレクト」という機能があり、この機能を使えばSalesforceのデータを直接リアルタイムに参照することができます。使用する上で「SOQLクエリ」を直接記述しなければならず、ハードルの高い機能ではあるものの、この点でややTableau CRMが優れているといえます。

4. Salesforce画面との連携

最後がSalesforce画面との連携です。
例えば、作ったダッシュボードをLightningのページへ埋め込みたいと考えた場合、Tableau CRMなら、「ダッシュボード」というコンポーネントが標準で用意されており、それを配置するだけで簡単に埋め込むことが可能です。
一方、Tableauの場合も、「Tableau Viz Lightning Web Component」というコンポーネントをインストールすれば、ほぼ同等の手順で埋め込みが可能となります(※1)。しかし、その前提としてダッシュボードがTableau OnlineといったSaaSサービス上にアップロードされている必要があるため、そういった点ではハードルが高いといえます。
また、Tableau CRMの場合は、ダッシュボードから特定のページを開く・Salesforce側で定義されたタスクを直接実行するといった、より高度なことも可能であり、Salesforce画面との連携という点では、Tableau CRMがリードしているといえそうです。

まとめ

以上、4つの観点で両者のツールを比較してみました。まとめると、以下のような形になります。

どちらのツールにも良い点・足りない点がありますので、ご自分の利用用途に合わせて、適切なツールを選択してください。