はじめに

  毎日使っている携帯、パソコンや公共交通機関など、私たちの生活はさまざまなテクノロジーに囲まれています。テクノロジーは生活する上で必要不可欠なものになっています。エンジニアは、そんな現代を支えるテクノロジーの実現者です。本記事では、日本、アメリカ、台湾におけるエンジニアのワーキングスタイル、そして同僚との付き合い方について、私の体験をもとに見ていきたいと思います。

目次

  • IT業界とは
    日本のIT業界定義
  • IT業界の比較
    1. 台湾
      • ワーキングスタイル
      • 同僚の付き合い方
    2. 日本
      • ワーキングスタイル
      • 同僚の付き合い方
    3. 米国
      • ワーキングスタイル
      • 同僚の付き合い方
  • まとめ

IT業界とは

日本のIT業界定義

日本標準産業分類では、情報通信業を通信業、放送業、情報サービス業、インターネット付随サービス業、映像・音声・文字情報制作業の5つに分類しています。情報通信業はIT関係の事業とマスメディア関係の事業を指しています。一方でハードウェアの製造や、新聞の印刷といった、製造に属する事業は除外されています。

狭義の情報通信業は、IT関係の事業のみを指し、マスメディア関係の事業は広義においての情報通信業とされています。また、一般的にはPCやソフトウェアの製造を含んで、IT関係の事業をIT産業と呼んでいます。

IT業界の比較

台湾

ワーキングスタイル

  1. ワーク・ライフ・バランス
    今台湾はワーク・ライフ・バランスを重視しています。仕事だけではなく、自分の趣味を持ち、また家族、伴侶、友達と付き合う時間を大切にします。オフでは、仕事のことを考えずに、自分の時間を楽しみます。仕事でハイパフォーマンスを生み出すために、充実した私生活が絶対必要、という考え方です。
  2. ドレスコードとヘアスタイルは自由
    お客様とミーティングする時もドレスコードは自由です。オフィスでもスーツを着る人はあまりいません。スーツと仕事の効率や成果物の品質は関係していないという考え方です。自分の好きな服を着ていると、気分が上がり、仕事のモチベーションも上がると思います。
  3. 新しい技術を勉強する時は、直接、公式サイトや英語のウェブサイトなどを勉強する
    欧米発のさまざまな技術がありますが、それを習得する時は、海外の資料を直接に当たり最新の情報を得ようとします。
  4. 時間通りに出勤
    出勤には厳しめです。多くの企業で規定の時間に出勤する必要があり、社員が遅刻すると給料を減らす一部の企業もあります。
  5. 半分以上の会社は残業代なし
    台湾のIT企業はほとんど裁量労働制です。時間内に自分が担当したタスクを完了できていない場合には、タスクを完了するように残業しますが、残業手当を出さない企業も多いようです。

同僚との付き合い方

 先輩後輩、という考え方はあまりありません。名前またはニックネームで呼び合い、上下関係なく付き合います。若い世代は仕事が終わった後や、休日には同僚と一緒に遊ぶことも多いようです。

日本

ワーキングスタイル

  1. 仕事は生活に一番大切な事、自分の生活より大切な事
    日本では、仕事は生活の中で最優先されるもの、という風潮があるように感じます。また、残業は仕事の一部と思う人も多いように思います。仕事が生活だ、という人は台湾や米国より多いと感じます。ただ、昨今はワーク・ライフ・バランスを大事にする人、企業が、だんだん増えていると感じます。当社でも残業時間を減らすように、効率を上げる対策を取っています。しかし、まだ残業が当たりまえと思っている人、企業もあります。
  2. ドキュメンテーションが大切
    日本はディティールを重視します。各フェーズで詳しく、書類を作成することもその一例だと思います。当社には独自のシステム開発方法論「Delivery Approach」があります。各フェーズが細かく設定された、システム構築のライフサイクル全般を体系的に標準化する方法論です。
  3. 文理不問採用・人材育成に注力
    日本の企業社会で面白い事象に文理不問採用があります。台湾と米国では、新卒採用する時でも、能力と技術を持っている人を優先して採用する、つまり即戦力採用が多いのです。日本の企業は、人と会社との相性と成長性を大事にしています。企業のリソースを使って、社員の成長をサポートし、ゼロからプロになるまで教育するところが興味深いところです。
  4. ドレスコードが大切
    日本の職場はドレスコードが大切です。IT業界でも、スーツを着るルールがある企業も多いようです。最低限でもビジネスカジュアルだと思います。また、髪色も制限されるところがあります。
  5. 新しい技術を勉強する時、外国語の公式資料を直接に読まずに、日本人が整理した資料を読む
    日本では技術調査をする時、日本語で整理された資料を読むことを好むように感じます。技術は欧米から生まれることも多く、日本語の資料がない状況も多々あります。そのため、新しい情報を手に入れる時に不利になる面があると思います。

同僚との付き合い方

 日本の職場では上下関係が大事です。先輩には逆らえないという企業の話も時々友人から聞きます。当社では、コミュニケーションの効率を上げるために、必要以上の敬語を使わないというルールがあります。距離感は縮まりますが、名前の後ろに“さん”と“君”などの呼称で自然に秩序ある人間関係を保っています。

 仕事以外の同僚間の交流は台湾より少ないと思います。飲み会以外の場合に、休日にあまり同僚と一緒に出掛けないですね。

米国

ワーキングスタイル

  1. ワーク・ライフ・バランス
    米国はワーク・ライフ・バランスを重視します。仕事だけではなく、自分の趣味の時間、家族、伴侶、友達と付き合う時間も大切にする、休みの時は仕事のことを考えない、ということは台湾と同じです。残業は自分の時間を削ってしまうので、あまりしない感じです。
  2. 残業代なし
    米国と台湾は似ています。IT企業はほとんど裁量労働制です。というと、時間内に自分を担当したタスクが完了できていない場合は残業しますが残業手当は出ません。残業手当がなくとも、ベースの給料が日本と台湾より高めだと思います。
  3. 仕事中の時間がフレキシブル
    裁量労働制なので、自分のタスクを締め切りまでに完了できれば、仕事の時間は自由です。出勤または退勤の時間は自分が設定できますし、仕事中にいつでも気分転換をします。例えば、午後にジムに行って、運動してから、また仕事を続けたり。米国では適切に気分転換すると、仕事の効率が上がる、という考え方を多くの人が持っています。
  4. ドキュメンテーションは自由に厳しく
    もし自分の責任範囲内のタスクのドキュメントが作成されないと、周囲からずっと質問がやってきます。効率的にドキュメントを作ることが重要です。

同僚との付き合い方

 先輩後輩といった付き合い方はほとんどなく、直接、名前またはニックネームで呼び合い、皆は同じレベルで付き合うイメージです20~30代は退勤後、さらには休日も同僚と一緒に遊びますね。

まとめ

 ワーキングスタイルは各国の文化を影響に受けます。ワーキングスタイルを単純に良い、悪いと評価はできないと思います。ただ、生活品質を重視する人は日本でもだんだん増えていると感じますし、ワーク・ライフ・バランスを重視した働き方はこれからますます主流になっていく傾向はあると思います。

 どこで仕事をするにせよ、社員を大事にしてくれる会社で働き、自分の好きなワーキングスタイルで、仕事は真剣に、生活と仕事のバランスをエンジョイしたいと思います!